早稲田大学野球部

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最終更新日: 2006年4月23日

□2004年春季東京六大学リーグ戦 戦評

2004.4.10~5.30


4月10日(土) 対 東京大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
東大 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
早大 0 0 0 0 0 1 0 1 X 2

○大谷1勝(通算2勝) 本塁打:本田1号

<戦評>

 ≪早大逆転、チーム新の14連勝≫
 開幕戦。5連覇を狙う早大は、これまで11勝無敗の越智をマウンドに送った。チーム力充実の東大は、復調の松家を送り、投げ合いのスタートとなった。前半はノーワインドアップ投法の越智の制球があまく、東大が攻め込む。4回、太田以下が3安打して一死満塁。二死後、荻田が左前打して先制した。
 一方、松家は七、八分の力で投げ、低目への速球とゆるいカーブを使い分けた。これに苦しみぬいた早大打線だが、6回、ルーキー本田の回生の1号で、息を吹き返した。この一打、風にも乗ったが、うまくミート打法に徹しているのが実った。8回の決勝打は、安打の猪坂を二塁に置いて、主将の田中が中前に弾き返してケリをつけた。
 それにしても、先発の越智は制球難で、3ボールになるケースがままあって、苦しんでいた。野村監督も「完敗の試合内容」というほどの展開で、エース越智の奮起を望みたい。「大谷が流れを変えた」(野村監督)ともいうように、初戦に限っては、大谷の頑張りにおうところが多い。
 早大はこれでチーム連勝新記録の14連勝。さらに記録を伸ばして欲しい。打線も強振より、シャープなミート打法に徹して欲しい。
 (S27入学 酒井 敏明)


4月11日(日) 対 東京大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 0 0 0 0 2 0 0 2
東大 0 0 1 2 0 0 0 0 X 3

<戦評>

 ≪早大の連勝は14でストップ≫
 油断大敵とはよく言ったものだ。前日の逆転勝ちからか、早大打線は、必勝の信念に欠けていた。2回は米田の拙走。 3回の無死満塁は、主力の武内、米田の気迫不足でいずれも無得点。歯がゆい限りだった。投げる佐竹は、球威こそあったが、いずれも高めに浮いた。3回は、2死三塁から太田に内野安打。4回は杉岡以下に3本の二塁打を喫し、計3失点。 ただ、この間に捕手島原の悪送球、記録に現れない落球と二度にわたるミスで、ともに失点に結びついた。これでは投手がかわいそうだ。
 東大の先発木村はカーブとストレートのコンビネーションが良く、ミラクル投法で頑張った。 7回、味方のエラーも重なり、田中、武内に打たれ、2失点したが、これは許されよう。むしろ、救援の松家の好投が光った。前日完投しており、疲れが心配されたが、その速球はうなった。7回、二死後のピンチから登板し、後続の7人をピシャリと抑え、 東大の6年、11季ぶりの対早大戦勝利に結びつけた。早大はチーム記録の14連勝も、ついにストップした。すべては油断と気迫のなさである。心して戦って欲しい。
 (S27入学  酒井 敏明)


4月12日(月) 対 東京大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
東大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
早大 0 1 0 0 0 1 0 2 X 4

○藤本1勝(初勝利)

<戦評>

 早稲田は2回に米田が右翼線安打、バンドで二進のあと山田悠の三遊間安打で一死一,三塁の先制機をつかみ、福本の左犠飛で先取点。6回は島原が三塁手の頭上をバウンドで越す幸運な安打で出塁すると、バンドで送り福本の左中間二塁打で2点目。8回には3人目の松家に山田悠が中前安打、代走の梁井が二盗、福本が三塁線にバンド安打して、一,三塁と好機を広げ、力んだ松家が暴投で加点、更にバンドと犠飛でダメを押した。
 10安打、4四死球に7犠打、チャンスを確実に点にしようとする狙いはよかった。だが好機をつかんだあとの決定力不足に不満が残る。
 重苦しい試合展開を救ったのが初先発の藤元(3年・桐蔭学園)185cmの長身から内外角を投げ分け、東大打線を8回まで三安打に抑えた。ピンチは4回、杉岡、木曽の長短打で一死一,三塁とされたときだが前原を内角球でつまった三直に仕留め併殺で切り抜けた。スリークオーターから右打者の胸元をつく攻めの投球は経験を積んだら貴重な戦力になる。早稲田の辛勝のなかで藤元の好投は明るい話題に取り上げていいだろう。
 (S27入学  増田 稔)


4月24日(土) 対 法政大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 1 3 0 0 0 0 1 5
法大 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1

○大谷2勝(通算3勝) 本塁打:大谷1号、本田2号

<戦評>

 開幕週の東大戦は、3ゲームで8得点だった。平均得点は3点に届かない。昨シーズンに比べ懸念されていた得点力の低下が現実のもの となった。だが、相手投手の松家は高松高時代にドラフトの対象にもなった実力派である。早大は新チームが初めて戦うリーグ戦であり、気負いもあっただろう。1敗はしたものの、勝点を取った事でよしとしなければならなかった。そして、一週空けての法大戦である。 注目は打線がどの程度、精度を高めているかだった。活路を開いたのは投手の大谷だった。3回、コンパクトに強く振り抜いてリーグ戦初の左越本塁打で先制点をたたき出した。これでは野手たちも沈黙しているわけにはいかない。 4回、1死満塁と好機を広げ、田中浩の遊ゴロ、本田と武内の連打で3点を加えた。9回には本田の左越え本塁打が出てダメを押した。大谷は144球を投げてリーグ戦初完投で今季2勝目をマークした。内容的には腕がよく振れ、外角へのストレート、 スライダーの制球がよかった。2年生投手を1回戦に起用した野村監督は「これからのことを考えて先発で使った。緊張感の中でよく投げた」とほめていた。
 (S39入学  六車 護)


4月25日(日) 対 法政大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
法大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
早大 0 0 0 0 0 1 0 2 X 3

○藤元2勝 本塁打:武内1号(通算7号)

<戦評>

 チャンスに適時打が出ないイニングが続いた。こうした展開は、ややもすると投手に精神的負担がかかり、 先に崩れることがあるものだ。しかし、この日の藤元は要所を締めて踏ん張った。6回、2死三塁を攻められたが、野村監督のタイミングを心得たアドバイスもあって次打者をキレのよい速球で三振に切って取った。その裏、 早大は武内が右中間席に先制のソロ本塁打を打ち込んだ。開幕週の東大戦3試合で11打数1安打と不振にあえいだ主軸の1発だった。8回には無死満塁から島原の中前打で2点を追加した。ここでも、武内が右越え二塁打してチャンスを作った。東大戦では大振りが 目立ちバットの先が遠回りして差し込まれていたのを修正してシャープさが戻っていた。藤元はスリークオーターからの速球にノビがあり、リーグ戦初完封で2勝目をものにした。ここまで2カードを戦って勝点は2. 打線は、やや上向きの感じだが、チーム全体を見れば投手陣に支えられたゲームが続いている。なかでもリーグ戦経験の少ない大谷、藤元が持ち味を十分に発揮したのは心強い。野村監督も今後の戦いは2人を中心に投手陣を起用していくことになるだろう。 苦言をひとつ。本来なら投手たちのリーダーにならなければならない越智はどうしたのか。ぎこちないフォームは制球力を失い、自分をなくしている。タテの変化のフォークボールを覚えるなり、工夫することだ。奮起をのぞみたい。
 (S39入学  六車 護)


5月1日(土) 対 立教大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R
早大 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
立大 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

<戦評>

 早稲田が押し気味に試合を進めたが、あと1点がとれず、延長12回で引き分けた。1点を追う5回、 コントロールを乱した立教大・小林に福本、猪坂が連続死球で無死一、二塁。大谷のバンドは投ゴロとなり福本が三封。田中浩の二ゴロ失で満塁から本田が右犠飛して同点とした。このとき二塁走者の大谷は大事をとり三塁に走らなかったため、 武内の一、二塁間安打で本塁をつけなかった。走塁ミスだ。12回は本田四球、武内左前安打のあと、米田の一ゴロで一死一、二塁。立教大はここで満塁策をとった。代打入江、梁井はいずれもボール球に手を出し、三振した。立教大の小林は11回で166球。 満塁にしたときは182球を投げ、疲れからボールは高めに浮いていたここをじっくり見極められない攻撃面でのミスが勝ちを逃した原因である。早稲田の大谷は4回、多幡に真中から外に逃げる低目スライダーをうまくすくわれ、左本塁打された。 これは失投ではなく、打者の巧打を誉めたい。8回から12回まで打者15人を9三振、一人の走者も出さず、投げきった大谷の力投は見事だった。それだけに攻めの拙さが惜しまれる。  
 (S27年入学 増田 稔)


5月2日(日) 対 立教大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
立大 0 1 4 1 0 0 0 1 0 7
早大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

<戦評>

 早稲田の完敗だった。しかも早稲田にとっては47年ぶりに喫した2度目のノーヒット・ノーラン・ゲーム(前回も対立教戦) という球史に残る敗戦である。伏線は2回の守りにあったのではないか。先発の藤元は2回2死まで無難な速球を見せていた。だが持ち味である右打者の内角をつく速球が少なく、外角を狙うカーブ(スライダ)が多かった。 二死後、高橋佑に2-2から中前へ初安打された。続く藤森慶にも2-0と追い込んだあと外角をつくカーブが暴投となり、得点圏に走者を置いた。これでリズムを崩し、2-3と自ら不利なカウントとしストライクを取りにいった甘い球を左越え二塁打 され失点。3試合目19イニング目の初失点である。3回も弱気と見える投球が続き、多幡に二塁打、友永に左本塁打を浴びた。いずれも2-1と追い込んでからのものだ。立教の日野は対照的な強気の投球を見せた。思い切った内角攻めから外角をつく チェンジアップ、カーブ、スライダーを駆使し、9回を投げきった。安打性の当たりは6回、武内にバックスクリーン前まで飛ばされた一打(野手が好捕)と9回2死一塁から米田のボテボテの遊ゴロ(野手がはじき失策となる)の二本。 日野は早稲田の推薦入試で落ち、立教に一般受験で入学したという。三回戦で早稲田がどれだけ意地をみせるか期待したい。
(S27入学 増田 稔)


5月3日(土) 対 立教大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 1 0 2 0 0 0 2 4 0 9
立大 1 0 1 0 0 0 0 0 0 2

○大谷3勝(通算4勝) 本塁打:田中浩1号(通算6号)、秋山1号

<戦評>

 早稲田が意地を見せた。その、起爆剤となったのが田中浩のバットだった。田中浩は1,3,7,8回に4長短打した。 それは先制打、追加点、決定打、ダメ押し点につながる価値ある一打である。四本目で9点目となった二塁打だけ左翼線だったがあとの三本は右方向にねらい打ったもの。このところ右翼打ちが多く見られ、結果はいまひとつだったが、 この日ははっきりと成果がでていた。一回の先頭打者安打は前日に喫したノーヒット・ゲームという重苦しい雰囲気を消し飛ばす貴重な一打だったといえる。立ち上がり球威が定まらず、苦しんでいた大谷も、打線の援護を受けて回を追うごとに本来の投球を 取り戻していった。立教は一回に同点とし、三回には1点差に迫る粘るをみせたものの、追加点がとれないまま奮起した早稲田の打線に押し切られた。早稲田気力の勝利といえるだろう。
 (S27年入学 増田 稔)


5月4日(火) 対 立教大学 四回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
立大 1 2 2 0 1 0 0 0 1 7
早大 0 0 0 0 1 1 2 0 0 4

本塁打:武内2号(通算8号)

<戦評>

 早稲田先発・藤元がコントロールを乱し、自滅した。1回先頭打者を2-0と追い込みながらコーナーを狙いすぎて四球。 バンドで送られたあと、四死球を連発。暴投で1点を失った。2回にも無死1塁で藤森慶に0-2からストライクをとりにいき左本塁打された。第二戦に先発、失敗したときと同じ内容である。東大、法大戦では攻めの投球で無失点の好投を見せていただけに、 首を傾げたくなるものだ。「自信を取り戻させるための起用」野村監督の思惑も裏目にでてしまった。このあと大谷、佐竹、宮本と継いだが連投の大谷が打たれ、前半で6失点。打線が後半立教を上回る9安打したものの失点 があまりにも多すぎた。立教は6安打のうち4本が長打で効率のいい攻めだった。早稲田は四、五番が対立教4試合で31打数1安打。その1本も内野安打という極端な打撃不振。これが打線のつながりを欠いた原因といえる。これで立教には6季ぶりに勝点を与えたが、 残る明治、慶應戦次第で5連覇の夢は消えていない。全員の奮起を促したい。
(S27入学 増田 稔)


5月15日(土) 対 明治大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 1 0 0 3 0 0 1 1 6
明大 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

○大谷4勝(通算5勝)

<戦評>

 ≪早大逆転、チーム新の14連勝≫
 勝点3でトップをゆく明大から6対1で先勝。結果だけをみると楽勝にみえるが、中身は、明大=一場プレッシャーと闘う 早大ナインの気持ちが痛い程わかる試合だった。
 一回裏、先頭・宇津野を歩かせた、若きエース・大谷は、二番の送りバントを二塁に投げようとして足元に叩きつける。 ボールがレフトに転々とする間に宇津野がホームインして先制点を許してしまった。。
 このバント、捕手は一塁への送球を指示したが、大谷は二塁封殺を狙った。そしてベースカバーのタイミングが合わなかったのか、 途中で投げるのをやめようとしたための悪送球だった。捕手の指示を無視して二封をあせったところに、一場との対決に勝ちたい大谷の、いや早稲田の対明大プレッシャーをみた。
 大谷は二回も、左前ヒットと四球、送りバントで二死三塁まで攻め立てられる。並みの投手ならこのまま自滅するところだが、 このピンチを三振で切り抜けてから、三回以降を3人ずつ押さえ込んだのは、さすがに報徳学園時代、甲子園でセンバツ優勝した実力をみせつけた。
 明大プレッシャーは、いい形でも現れた。勝負を分けた五回表、二死、三塁から田中が三遊間をゴロで破って逆転。 続く梁井もセンター右前に落として2点を追加し、4-1と突き放した。この連打、いずれも一場の146キロに差し込まれながらもはじき返したもの。「コースがよかった」といえばそれまでだが、「一場を打って明治に勝ちたい」というナインの気力が乗り移った 逆転劇だった。
 ただしその直後、殊勲の梁井が投球前に二塁へ向かい、あっけなくチャンスをつぶしたのはどういうわけか。相手が背を向けた時は、徹底的に追撃して息の根をとめなければ、禍根を残すことになる。
 (S34年入学 生原 伸久)


5月16日(日) 対 明治大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
明大 0 0 3 0 0 0 1 0 0 4
早大 0 0 0 2 0 1 0 0 0 3

本塁打:島原1号(通算3号)

<戦評>

 試合時間は今季最長の3時間47分。互いに優勝へ夢をつなぐ早明戦は、4-3で雨中のそ総力戦を制して1勝1敗に持ち込んだ。
 早大は、野村監督がヤングエース・大谷に続く2本柱に育てたい宮本が三回、西谷の3ランを浴びて降板。打線も、 三回まで左腕・清代に7三振して苦しんだが、四回1死から伊地知、秋山、小野塚の長短打で1点差に迫り、六回には島原がレフトスタンドに打ち込んで追いついた。
 両軍が息づまる総力戦を展開したのはこのあとだ。明大は、清代が島原の一発でリズムを崩して二死二、三塁のピンチを背負うと、 前日八回投げて負けた豪腕エース・一場を投入して早稲田を止めた。
 一方、早大は7回から送り出した3人目の越智が宇津野の二塁打などでリードを許すと、八回裏、一死三塁から、 代打山田悠のスクイズで勝負に出た。結果は山田がサインに気づくのが遅く、3バント失敗に終ったが、気になったのは左打ちの山田が3塁側に転がしたとき、自分もスタートを切ったことだ。ここは「自分は動かなくてもいい」 くらいの気持ちで確実に決めて欲しかった。
 この“奇襲作戦“失敗で総力戦は終った。しかしこの日、六回から点灯した雨の球場では、両校学生がずぶ濡れで絶叫を続け、 内外野の一般席では、傘を握り締めたファンが最後まで動こうとしなかった。選手たちが見るものに感動を与えるプレーと試合をすれば、ファンは必ず神宮の杜に戻ってくるだろう。
 (S34入学  生原 伸久)


5月17日(月) 対 明治大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 0 0 0 2 0 2 0 4
明大 0 2 0 0 2 0 1 0 X 5

本塁打:武内3号(通算9号)

<戦評>

 ≪明治12季ぶり優勝。早稲田はV5消滅で貴重な教訓≫
 早稲田は史上初の5連覇をかけて、明治は12シーズンぶりの優勝を目前にして、どちらも負けられない決勝戦だった。
 早大は野村監督が前夜、惜敗のロッカールームで「もう一度、あいつで行くしかないな」と宣言した新エース・大谷の先発。 明治も1,2戦に先発とリリーフに大車輪の大黒柱・一場が3連投のマウンドに立ち、一気に優勝を狙った。
 この日も先手をとったのは勢いに乗る明治。二回に清水と大森の長短打を続けて2点をリード。五回には、 3連打で一死満塁と大谷を攻め立てたところで、早稲田内野陣に痛恨のエラーがでる。続く幸内のセカンドライナーを捕った田中が、二遊間に飛び出した走者を併殺しようとして二塁に悪送球して3点目。動揺した大谷の暴投が続いて4-0の大差となった。
 早稲田は六回、大谷、田中、梁井の長短3連打で2点を返したが、七回には明治が一死二、三塁としたところで、 清水の遊ゴロを猪坂がホームへ悪送球して、5点目を献上。早稲田が八回、武内の2ランで1点差に迫っただけに、2つの悪送球が悔いを残した。
 これで早稲田は、史上初のV5の夢が消えたが、10安打を許しながらも完投した大谷をはじめ、投打に手応えと収穫を残した 3連戦でもあった。悪球に手を出して相手投手を助けた打線、肝心なところで致命的なエラーが出た守備・・・・・・連覇の夢と引換に得た貴重な体験と教訓を、残る早慶戦に生かして、秋の出直しVにつなげてほしい。
 (S34年入学 生原 伸久)


5月29日(土) 対 慶應大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
慶大 0 6 1 0 0 0 0 0 0 7
早大 0 0 0 0 0 0 2 0 0 2

<戦評>

≪早慶戦200号の満塁アーチで早大完敗≫
 1回表、早大・大谷のマウンドを見て、野村監督は「ン?」と首をかしげた。右飛と三振のあと四球を出したものの、 4番・早川を遊ゴロ封殺に討ち取って、一見、まずまずの立ち上がりに見えた。しかし、あの伝説の早慶6連戦を守り抜いた名捕手の目は、頼みのヤングエースの速球に、いつものキレがないことを見抜いていた。
 野村監督の不安は、次の回に的中する。先頭・中村に中前安打を許したあとの一死後、四球で1、2塁。8・9番の二塁打と内野安打で 2点を許したまではまだよかったが、1番を歩かせた一死満塁で杉吉に初球、内角高めの直球を早大ファンで埋まる右翼席に満塁ホームランされて、試合は決まった。
 慶應にしてみれば、対早大10連敗後の決勝アーチだが、この一発は早慶戦101年目で通算200号のメモリアルアーチでもあった。
 これまで4勝1敗で早大投手陣の柱を務めたヤングエース・大谷(2年生)は試合後「思い切り腕を振ったつもりだけど、 球が行かなかった。」と、集中打を浴びた原因を振り返った。2位をかけた早慶戦を控えた2週間の練習で、投げ込みすぎの疲れが残ったためだが、調整ミスの痛い経験は、秋の投球にいかしてほしい。
 この日、神宮球場は晴れ、28・6度。36,000人の観衆に、記者席でも「よくはいったな」と驚きの声があがった。 嬉しかったのは、両校の学生席が内外野とも超満員だったことだ。
 (S34年入学 生原 伸久)


5月30日(日) 対 慶應大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 1 0 0 0 0 0 0 1 0 2
慶大 0 0 0 5 1 0 0 3 X 9

<戦評>

≪自滅投壊で早慶戦連敗≫
 明大の完全優勝が決まったあとの早慶戦にもかかわらず、この日も32,000人のファンと学生が詰めかけた。早大は1回表、 二死から3安打をつないで1点を先行したが、先発の越智が4回、突然崩れた。
 この回、慶大は二死1,2塁から岡崎の中前安打で同点。このあと越智は四球を連発して押し出しの2点目を許したところで KO降板した。
 勢いに乗った慶大は、リリーフの宮本からも安打を続け、早大のエラーもからんで一気に5点を奪取。打者11人、4安打4四球の ビッグイニングで6年ぶりに早慶戦の勝ち点を決定的にした。
 それにしても、復活のチャンスをもらった越智はなぜ突然、変調したのか。悲劇の始まりは二死2塁からの四球だった。 続く岡崎に許した同点タイムリーも0-3から始まり、最後は高めのスライダー系。次の堤野も0-3から1-3として四球満塁。投手の日暮にまで押し出しの四球を与えたのだから、制球難で自滅したとしかいいようがない。
 早大はこの日、4投手が9点を献上したが、野手も”投壊”の足を引っ張った。8回裏のダメ押しの3点も、 二死1塁からの遊ゴロを猪坂が1塁に悪送球して傷口を広げたもの。このミスがなければ、長短打で3点を奪われることはなかった。
 攻撃にも課題を残した。5失点直後の5回表、早大は死球2つで一死2,3塁とチャンスを広げたのに、 主砲の武内が2-2から見送り三振。ここで一本出ていれば、試合はどうなったかわからなかった。
 5連覇の夢の消滅。立大戦で47年ぶりのノーヒットノーラン。2人目の投手がみつからないまま”投壊”でBクラス落ち ・・・・昨年までの天国から地獄に落ちたようなシーズンだったが、投打とも、潜在能力は他校と互角とみる。自分の力をなぜ出せなかったか、を各自がみつめ直して、秋の再起をめざしてほしい。
 (S34年入学 生原伸久)