早稲田大学野球部

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最終更新日: 2006年3月27日

□2005年秋季東京六大学リーグ戦 戦評

2005.9.10~10.30


9月10日(土) 対 東京大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
東大 0 0 0 0 1 0 0 0 X 1

●宮本、大谷―山岡

<戦評>

 東大の決勝点は、5回二死から生まれた。一番の森山が中前安打、黒江は2-0と追い込まれたあと三塁右へ内野安打、北野が1-1から中前につまりながら落として一点が入った。早大の宮本は8、9番の下位打線を連続三振にとったあとに三連打を浴びたわけだが、この日は立ち上がりから直球が高めに浮き、持ち味のカーブでカウントを稼ぐといった内容のよくない投球だった。リーグ戦前のオープン戦から負け無しの登板だったが、変化球でストライクをとるといった投球はとても本調子とは思えない。
 1点が取れなかった打線はもっとひどいものだ。 2回に梁井の中前安打をはさむ2死四球で1死満塁と先制機をつかみながら、宮本三振、竹内三ゴロ。5回は先頭の宮本が右越え二塁打をしたが、竹内の投前バント失敗で宮本が3塁でアウト。8回は一死1、2塁でまず二塁走者が投手牽制でアウト、一塁走者が次打者の初球に二盗失敗した。
 東大・松岡投手の下手から内外角の高低に散らす投球にタイミングを狂わされ、最後まで決定打を奪えなかったのだが、それにしても散発の5安打はいただけない。
 オープン戦は18勝1敗1分と好成績を残したが、いろいろテストとはいえ残り5試合をきっても打線が固定されなかったことがちぐはぐ攻撃に終わったことに結びつかないだろうか。
 この試合では春の優勝校の面影はとても感じられない。(S27年入学 増田 稔)


9月12日(月) 対 東京大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
東大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
早大 1 2 1 0 0 0 1 0 X 5

○佐竹、中村展、井上―山岡

<戦評>

 早稲田は1回、梁井の中前安打、武内が敬遠ぎみの四球で1死、1、2塁、田中幸が2塁インフィールドフライに倒れたが、松本が投手強襲安打して満塁とチャンスを広げ、山岡が2-3後、四球で先取点。 2回には竹内が四球、バントで送られたあと、梁井が右翼線に安打、前進した右翼手がこれを後にそらして(記録はランニング本塁打)2点。 3回には安打の鴛海を2塁に置いて投手の佐竹が3塁線を破って4点目を挙げた。
 1回の先取点は東大の楠井投手が右腕に打球を受けたあと、制球を乱したものだし、梁井のランニング本塁打は野手の不手際による幸運な追加点だった。1回戦で完封負けしたあとだけに、まだ打線は本調子とは思えないが打線のつながりは多少でてきたようだ。
 投手陣は三投手のリレーだったが、やはり先発した佐竹がよかった。これまでの力みからくる制球力の乱れが無くなり、安打と失策から二度無死1塁とされたが、盗塁失敗と併殺で二塁も踏ませなかった。
 あとは打線の調子が上がってくるのを待つといったところだろう。(S27年入学 増田 稔)


9月13日(火) 対 東京大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 6 2 0 0 7 0 0 0 6 21
東大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

○宮本、大谷、越智―山岡、小林


9月25日(日) 対 法政大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
法大 0 0 0 1 2 0 0 0 0 3
早大 0 1 0 1 0 4 0 0 X 6

宮本、大谷、○越智―山岡

<戦評>

 1点を追う早稲田が6回裏左の代打攻勢をしかけ4安打を集中し一気に逆転した。先頭の生島が初球中前安打。大西は高めのボール球に手を出して2-3と危なかったが四球。松本が二塁内野安打。これを野手がはじいてまず同点。
 法政の先発・福山は球威はまずまずだったがボールとストライクがはっきりしていた。2、4回に1点ずつとられたが、5回まで毎回得点圏に走者を許すという本来の投球ではなかった。
 無死1、2塁から梁井のバント失敗で1死となったが、前田将の2-1から低目球を捕手が後逸し2、3塁。前田将が中前安打して勝ち越し、福山をKOした。法政は下敷領を送ったが武内が中越えに二塁打して2点を追加、とどめを刺した。
 早稲田の先発・宮本もいつもと違い制球がいまひとつだった。毎回走者を出し、4回には四球をはさむ3安打で1点。5回にも5本の長短打で2点をとられた。4回には併殺。5回は二度の走塁失敗で走者がタッチアウト。じっくり攻められていたら勝敗はどちらにころんだか分からないところだった。(S27年入学 増田 稔)


9月26日(月) 対 法政大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
法大 1 1 0 0 0 0 1 0 X 3

●佐竹、山本、大谷、中村展―山岡

<戦評>

 早稲田の完敗だった。
 先発の佐竹、スピードは140㌔前半とまずまずだったが勝負どころの球が高目だった。
 1回1死から須藤に三塁右を破られ、二死から金丸にも中前安打された。  犬童は初球打ちの三ゴロでピンチを脱したかにみえたが、なんと三塁手が大きくはじく失策で1点を失った。
 2回には御手洗を2-1と追い込んだ後、真中の直球を中前安打。投手の平野貴にはボールが先行して2-3から四球を与えた。 投手を歩かせてしまい、佐竹に力みが出る。続く大引、西川にも初球をねらわれ中前と左前に打たれ2点目をとられた。
 3回から山本、大谷、中村展と継いで7回の1失点に抑えたが、立ち上がりの失点が大きすぎた。
 打線は投手陣以上に悪かった。平野貴に対し、1回こそ球をよく見ていたが、2回からあせりが出たのか早打ちが目立った。 3回1死1、2塁で梁井が初球打ちして二ゴロ併殺。4回にも2四球と崩れかかった平野貴に、生島がボール球に手を出し3球空振りの三振。 ピンチで苦しむ相手を手助けしたかっこうだ。
 同じ敗戦でも内容がある戦いをして欲しい。(S27年入学 増田 稔)


9月27日(火) 対 法政大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
法大 0 0 1 0 0 4 0 0 1 6
早大 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1

●宮本、佐竹、山本、越智―山岡、細山田

<戦評>

 早稲田は左腕・宮本。法政は下手投げの下敷領が先発した。
 宮本は1回戦では5回で10安打を打たれ3失点。勝負どころで球が真中に集まりすぎ痛打を浴びたのだった。下敷領は二番手で登板。打者5人に1安打を許したものの浮き沈みする球を使い分ける二年前の好調時に近い出来をみせていた。下降気味ともみえる宮本、調子が上向きの下敷領。これがそのままこの試合に現れたといえる。
 宮本は3回、先頭の井上を歩かせ、1死後大引に2-3から左中間三塁打され1点。4、5回はスクイズ失敗、併殺でどうにか切り抜けたが、6回には先頭の西川に三遊間を破られ、バントのあと死球をはさむ3連打でKOされた。
 下敷領は1回こそ先頭打者を内野安打で出したが牽制で刺し、以後は散発の6安打で早稲田の攻撃を1点に抑えた。
 早稲田は二試合でわずか1得点。試合ごとに打線が入れ替わる゛猫の目打線゛。これを早く解消することだ。
 これで勝点2を挙げた法政が第1関門を切り抜け、早稲田は一歩後退した。(S27年入学 増田 稔)


10月1日(土) 対 明治大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 3 0 0 0 0 2 0 5
明大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

○宮本、佐竹、山本、大谷、越智―山岡、小林

<戦評>

 「キャプテンとは、かくあるべし」――武内が“オレに続け”とばかりに気迫あふれる攻撃でチームを引っ張った。1回裏の第1打席、右前にはじき返すと大西の初球に二盗を敢行した。結果は相手捕手の好送球に憤死したが、懸命に得点圏に進もうとした積極的な走塁は、このゲームにかける意気込みをダッグアウトに伝えるのに十分だった。
 第2打席は3回だ。3つの塁を四球の山岡、右前打の北崎、捕前バント安打の前田将が埋めていた。上本が遊飛に倒れた2死後だ。武内は力むことなく、じっくりと選球してフルカウントから先制の押し出し四球を選んだ。続く大西は第1ストライクを逃さず遊越えに2点適時打して続いた。
 6回の第3打席、武内は先頭打者で左中間二塁打した。先発の宮本が5回を無失点に抑えている。絶好の追加点機をものにすれば、勝機をグンと引き寄せられる。しかし、次打者の大西は進塁打を打てず、結局逸機した。
 さらに8回、武内は2死後から中堅左へライナーの二塁打して全打席出塁をマークした。ここは、何としてもキャプテンに続かなければならない。大西と松本が死、四球で満塁と好機を広げた。それまで3打席凡退の生島は二塁手のグラブをはじく2点打してダメ押し点をたたき出した。
 宮本は立ち上がり球威を欠いていた。それでも、無走者からセットポジションで投げるなど工夫と慎重さが感じられた。6回からはバタバタと小刻みな継投策でしのいだが、3投手の3イニング・5与四球の制球難は情けない。(S39年入学 六車 護)


10月2日(日) 対 明治大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
明大 1 0 0 2 0 2 2 0 0 7
早大 1 3 0 1 0 0 0 0 0 5

宮本、●佐竹、大谷、越智―山岡

<戦評>

 ゲームは、いい形で推移しているように思われた。同点の2回、四球の山岡をバントで送ると北崎が甘い変化球を高々と左翼席に運んだ。1点差に詰め寄られた4回は、二死後から上本が四球、すかさず打撃好調の武内が右中間を割って上本を迎え入れて2点差とした。
 好展開が暗転し始めた分岐点は、5回裏の絶好機を逃したことだったようだ。生島、山岡の連打などで無死満塁、さらに引き離すチャンスをつかんだ。だが、次打者の投手・佐竹はバットに当てたのはよかったが、1-2-3とわたる最悪の併殺打して絶好の追加点機を逸してしまった。流れが変わるとはこのようなことを言うのだろう。
 4回から連投の宮本をリリーフした佐竹が逸機の直後につかまった。先頭打者に二塁打されたあと、連続四球、重盗に捕手の三塁悪送球、内野ゴロなどが絡まって同点とされる2点を失った。さらに7回、佐竹は勢いづいた明大打線をかわすことが出来ず、5番・大森に決勝の2ランを左翼席に打ち込まれた。
 前半とは逆の2点のビハインドは、反撃可能な点差に思われたが、3番手投手・水田を無策に打って出て術中にはまった。投手陣で頼みの宮本は、制球とタマのキレが今ひとつ、勝負を急ぎすぎたこともあって不安を残した。(S39年入学、六車 護)


10月3日(月) 対 明治大学 三回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 0 1 0 0 1 0 1 3
明大 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1

越智、井上、中村展、大谷、○宮本―山岡

<戦評>

 「終わってみれば結果よし」――この一言がすべてと言ってよいゲームだった。攻撃陣は、なんともじれったい攻めを繰り返したものだ。11安打に4四球を絡めながら得点はわずかに3。残塁は実に13を数えた。もっとも、4度の満塁の好機をつかみながら、生かしたのは2度、それも最少の1得点とあっては、残塁数が増えるのも道理というものであろう。
 まず最初の逸機は1回だ。武内、大西の連打などで1死満塁、先制だけでなくビッグイニングの期待も膨らんだ。だが、松本は浅い左飛、生島は二ゴロに倒れた。0-0の均衡を破ったのは4回だ。1死2塁、山岡が中前打して松本を迎え入れた。なおも下位打線が内野安打などで満塁として上位につないだが、前田将はあえなく二ゴロで退いた。
 5回も武内と松本の短打などで2死満塁と攻めた。しかし、先制打の山岡は捕邪飛。フラストレーションが広がる逸機だった。救いは投手陣が走者を出しながら踏ん張ったことである。先発を任された越智は5イニングを投げてスクイズの1点でしのいだ。
 終盤に勝負が移った7回、生島が勝ち越しの右前適時打した。ところが、なおも続く1死満塁は後続打者が沈黙した。要するに、たたみ掛けることが出来ない、これも実力なのだろう。9回、武内が3本目の安打を中前にはじき返した。ここは手堅くバントで送り、再び生島が中前に適時打してリードを広げ、3連投の宮本が最後を締めた。(S39年入学、六車 護)


10月15日(土) 対 立教大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 2 1 1 0 0 0 0 0 0 4
立大 0 1 1 0 0 0 0 0 0 2

宮本、井上、山本、○大谷―山岡

<戦評>

≪一年生松本が先制打、大谷が完全リリーフ≫
 両校ともVへ向けての生き残り戦――。いきなり、早大打線が爆発した。初回は2死二、三塁から松本が左前にしぶとく2点タイムリー。2回は押し出し。3回は2塁打の松本を山岡がかえした。7番山岡は、この日4安打、打線のポイントゲッター役になっていた。
 立大のエース大川は、前週の対明大戦で連投し、中2日での先発。まだ疲れが残っていたのか、いつもの球のキレがなかった。一方、早大の先発宮本も大乱調だ。2回2死後、右翼失に端を発して四球の連発。あげく福島に左前打を喫し失点。3回は、2四球を出して、ついに交代した。
 宮本は今季、(右打者の)内角への速球が影をひそめ、得意のカーブも上ずって、自滅していった。エースの資格が疑われる"ノーコン"投手といえよう。序盤の乱戦から一転、中盤以降は、投手戦でゲームを締めてくれた。立大は2人目の平田が、左腕から速球をビシビシ決めた。早大は井上、山本、大谷と矢継ぎ早にリレー。とくに7回から登板の最後の大谷は、3回を21球でパーフェクト救援。勝ち投手ももぎとった。
 應武監督は「序盤で、もう2、3点とれたハズ…。それなら苦しまなくてすんだ」と話したが、打線の拙攻も目立った。とくにチャンスメーカー前田将のボールを振っての三振とバント失敗。3番武内の1死満塁でのから振り三振(2回)。一年生松本のバットに救われたものの、歯がゆいばかり。通算100安打にあと1本と迫っている武内、これくらいで固くなった、とは思いたくない。第2戦以降、奮起してほしいものだ。(S27年入学 酒井 敏明)


10月16日(日) 対 立教大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
立大 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
早大 2 0 0 0 0 0 0 1 X 3

○越智、宮本、大谷―山岡

<戦評>

≪大器・越智投手復活≫
 大器・越智投手が復活した。"復活"がオーバーなら、「復活の兆し」としようか。ともかく、この試合が「越智の好投」に尽きることだけは確かだろう。
 越智は1回表、連続三振から始まった。6回まで10奪三振のパーフェクト・ピッチング。記者席は各社が、本社のデスクと大記録達成に備えて打ち合わせを始める。
 この間、早稲田は1回裏2死二塁から4番・大西がショート強襲タイムリーで先制点。松本が歩いて一、二塁から生島が中前タイムリーで2点目をもぎ取った。
 越智の快投とこの先制攻撃を見て、スタンドのファンは「早稲田楽勝」と思っただろう。が、この楽勝ペースに安心したのか、その後、打線は2回から5回まで大西の右前安打1本だけ。6回には、先頭・上本が左翼二塁打したというのに、クリーンアップが2三振と三邪飛で無得点。この無気力打線が、早稲田ベンチにいやなムードを運んだ直後の7回表、越智の大記録の夢は破れた。
 この回、立教は内野安打と送りバント、犠牲フライで2死三塁のあと、大西の内野安打で1点。いずれもセンター前の当たりそこねだったが、1点差では、ベンチも越智を降ろして宮本をつぎこむしかなかった。立教は9回、早稲田3人めの大谷から長短3連打で1点を加えたが、試合は8回裏、2死二塁から主砲・武内が左中間二塁打した3点目が効いて、やっと早稲田が連勝。次週の法立戦に、首の皮一枚の希望をつないだ。 この日の越智はMAX149キロだったが、143キロ前後の伸びのよい速球と変化球のコントロールがよかった。今季は法大1回戦に中継ぎで勝利投手になっているが、先発での勝利は今年春の明大2回戦以来である。(S34年入学  生原伸久)


10月29日(土) 対 慶應大学 一回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
早大 0 0 3 0 1 0 1 0 0 5
慶大 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

○宮本―山岡

<戦評>

≪主将・武内、ダメ押し三塁打で首位打者に王手≫
 法政の完全優勝を許したあとの早慶戦は、観衆18,000人の寂しい伝統の一戦となった。
 慶応・加藤、早稲田・宮本の左腕エース対決は二回裏、慶応が先手を取った。1死一塁から大伴の右翼線二塁打と仁科の二ゴロで1点。投手・加藤も中前タイムリーで2点のリード。
 早稲田は三回表、先頭・北崎の右翼線二塁打を宮本が送ったあと、上本と前田将の連打で1点返してなお二、三塁。2死後、4番・田中幸の走者一掃三塁打で逆転した。優勝は逃がしたものの、早慶戦には負けられない早稲田は、この逆転がなければエース・宮本を降ろしただろう。
 主導権を握った早稲田は五回、2死から主砲・武内がこの日2度目の死球のあと二盗。田中幸が三遊間タイムリーで帰してリードを広げた。武内は七回、2死二塁から右中間にダメ押しのタイムリー三塁打を放って、この日2打数1安打。打率を4割2分2厘に伸ばして、2位・大引(法政)に2分6厘の差をつけた。
 試合後、武内は、卒業シーズンの首位打者について聞かれると「明日はあと1本打ちたい。1本出れば、あとは続くと思います」と控えめに初タイトルへの決意を語ったが、この日、気になったのは五回、二つ目の死球を受けたとき。武内はバットを投げ捨てて怒りをあらわにした。
 古い話だが、筆者が川上・巨人9連覇の1~3年目の担当記者だったころ、全盛時代の長嶋、王は死球やビーンボールで投手に向かっていったことは1度もなかった。武内も首位打者争いでいら立っていたのはわかるが、主将は大学の看板であり、チームメートの鑑(かがみ)でなければならない。天性の好打者だけに、心も磨いてもらいたい。(S34年入学 生原伸久)


10月30日(日) 対 慶應大学 二回戦

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
慶大 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
早大 2 1 0 0 0 0 0 1 X 4

○越智、大谷、佐竹―山岡

<戦評>

≪武内、首位打者決定で有終の美≫
 この日も早稲田が一気に逆転した。
 初回に1点先行された早稲田はその裏、上本が左中間スタンドに先頭打者ホームランで同点。1死二、三塁から松本の右犠飛で2点目だ。
 二回にも内野安打の山岡を北崎が送ると、越智が三塁線を破るタイムリーで3点目。八回には2死一、三塁から代打・田中豪が三遊間を破ってダメ押しの4点目を奪った。
 先発の越智は立ち上がりに1点を許したが、二回以降は三回の1安打だけに抑えて7回を2安打1失点。このあと早稲田は八回を大谷、九回は佐竹をつぎこんで慶応の反撃をかわし、早慶戦連勝で2位のシーズンを終わった。
 この日、武内は左飛と2四球のあとの七回、2死からセンター前に打ち返して2打数1安打。最終打率4割2分6厘で初の首位打者を決めた。法政に一歩の差で優勝を許したが、卒業のシーズンに首位打者で主将の責任を果たした武内は「こういう結果を出せたというのは、自分としても自信になります」とかみしめるように言った。
 これで、この5年間10シーズンで早稲田の首位打者は鳥谷(2回)、青木、由田に続いて4人目、5回。テレビ中継で解説した野村・前早大監督は「武内の通算打点(73)が東京6大学史上、岡田、大森、田淵に続いて4位というのがすごい」と、愛弟子の素質と実績を改めて評価していた。(S34年入学 生原伸久)