□2006年秋季東京六大学リーグ戦 戦評
2006.9.9~10.29(予定)
9月16日(土) 対 東京大学 一回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 東大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 早大 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 | 0 | 2 | 2 | X | 11 |
○大谷―細山田
<戦評>
3回に1点を先取した早稲田は4回、打者一順12人の攻撃で6点を奪い圧勝した。
しかしこの回は、先頭・細山田が歩いたあと、本田の投ゴロが二塁への悪送球を誘い、送りバントと三塁ゴロの一塁への送球の間に生還。その後、東大投手陣が音をたてて崩れ、計3安打5死四球で、自責点はゼロだった。
早稲田は7、8回にも2点ずつ加えて楽勝したが、計14死四球で8安打が示すように、東大投手陣の自滅で拾った初白星。5つのバントを確実に決めて東大の“乱投”につけこんだのは、「春の反省を生かし、1点にこだわって競り勝つ野球をしたい」という応武監督の意志を反映したものだが、大量点のわりに、前田将の2安打2打点3盗塁以外、めだったヒットが見られなかったのは今後の反省材料だろう。
V奪回をめざす秋の第1戦先発・大谷は、1回2死から3連打をあびてヒヤリとしたが、その後は低めに速球と変化球を集めて5安打完封。それでも「調子はよかったが、ボールの指のかかりなどがイマイチだったので、納得のいくピッチングではなかった」と自己採点は厳しい。左の宮本と競う右のエースは3打数2安打1打点、守備でも絶妙のバント処理と一塁ベースカバーをみせて、ナインの期待と信頼に応えた。
(S34年入学 生原伸久)
9月17日(日) 対 東京大学 二回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 2 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 |
| 東大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
○宮本、須田、山本―細山田
<戦評>
試合は、勝てばいいというものではない。ときには監督がチェックしたり、テストしたいテーマがある。この日、早稲田の課題は、主将エース・宮本の左腕だったろう。
春、同僚・大谷に続いて防御率2位の宮本は、8月の世界大学野球選手権大会・キューバ遠征で体調を崩した。帰国後の走り込みで体力は回復したが、捕手出身の応武監督の目には、調子があがらないままリーグ戦を迎えたように見えた。前日の開幕1回戦で大谷が先発完封したのは、「最も調子のよい投手」だったので、当然の結果だった。
で、第2戦の宮本だが、経験豊富な左腕はベンチの不安を吹き飛ばすような快投を見せた。3回まで奪三振7、四球1のノーヒット。4回2死後、初めて内野安打を許したが、5回を72球、1安打、8三振の“完封”でマウンドを降りた。
この間、早稲田は1回、ヒット・エンド・ランのタイムリーヒットなど積極攻撃で2点を先行。5回には無死二、三塁から大西の右中間二塁打などでダメ押しの4点を奪い、連勝の流れを決めた。
6回から須田、7回から山本をマウンドに送ったのは、「点差があったので他の投手にチャンスを与えるため。宮本は心配だったが、三振も取れて(復調の)メドが立って安心した」と応武監督。大谷、宮本の2本柱は東大戦で上々のスタートを切ったが、本当の力試しは次週の明大戦になる。
(S34年入学 生原伸久)
9月23日(土) 対 明治大学 一回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 明大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 0 | × | 7 |
●大谷、山本、松下―細山田、笹沢
<戦評>
幸先よく1点を先取した。投手心理からすれば、早く追加点が欲しいところだが、まずはていねいに辛抱強くリードを守ることだ。宮本を差し置いて先発を任された大谷は、そのことを十分に意識していた。危険なのは投球リズムが単調になって速球が高目に浮くことだ。2回、無死から連打された一、二塁は明大の送りバント失敗もあってピンチを断ち切り前半を切り抜けた。
だが、期待した味方打線は、小刻みな継投策に完全に沈黙した。大谷にとって6回に最大のピンチが訪れた。先頭打者への四球と連続単打で無死満塁。次打者の内野ゴロ併殺打の間に三塁走者の生還を許して追いつかれた。なお、2死三塁。ここが踏ん張りどころだったが、左打者に外角高目の棒球を左前に弾き返され逆転された。
致命傷だったのは二番手投手・山本の出来だった。元来、速球とカーブに威力はあるのだが、緩急をつけるなどの投球術は未熟だ。相手は前週の東大ではない。緊迫した1点差の終盤に投入するには荷が重すぎた。一番打者に初球のカーブを“待ってました”と狙い打たれて左翼席に運ばれた。これで終わらない。2四球、適時三塁打、さらに五番・佐々木に3点本塁打されて息の根を止められた。継投の人選ミスだ。
打線は貧打もいいところ。1回に田中幸の左適時打が出たが、あとはチャンスがほとんどなかった。終わってみればヒットは単打の2本だけ。テーマだった攻撃力の強化は芳しくない。次戦は少ないチャンスを必ずものにして、キャプテン・宮本の力投に期待するしかないだろう。
(昭和39年入学 六車 護)
9月24日(日) 対 明治大学 二回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 明大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | × | 3 |
○宮本―細山田
<戦評>
宮本が投打に活躍した。キャプテンの責任感と意地の発露といってよい。試合は1回戦とは逆の展開で1点を追う身に立たされた。宮本は初回、先頭打者に中前打され送りバントを決められた。ここで宮本らしくない失投が出た。「抑えねば」という意識が手元を狂わせたのだろう。暴投と暴投に近い捕逸で先制点を許した。前日の打線の出来の悪さを考えると、これ以上の失点は防がなければならない。
打線は1、2番を入れ替え、打撃の良い宮本を五番に入れるなどして臨んだが、前半は効果のほどが見られなかった。同点のチャンスは2回。中前打した小野塚がバントと内野ゴロで三進。だが、泉が三振で退いた。続く3イニングは二塁に進めず、いやな流れとなった。そして6回だ。宮本が前日3ランホーマーした佐々木に左翼本塁打された。
重くのしかかる1点である。だが、この日は打者たちに反発心があった。2点差とされた直後の6回裏、前田将が左前打して二塁盗塁を決めた。ここで上本が右翼線に適時二塁打を落として1点差。なお、無死一、二塁はバント失敗の併殺で二死三塁となったが、宮本が右中間に会心のライナー三塁打を放って追いついた。宮本は次の7回の守りを簡単に三者凡退で終わらせた。このあたり、ゲームの流れを読む非凡さがある。
明大は1回戦同様に継投でかわそうとした。7回裏、本田が一塁線安打して突破口を開いた。バントで送った二死後、打席には前イニングに二塁打している上本。明大は4人目の投手を投入してきた。上本は初球、ストレートを逃さず打って出て左前に決勝打した。宮本は最終回、ヒットエンドランを決められ1死一、三塁のピンチを迎えたが代打者をカーブの低目ボール球で三振、次打者を内野ゴロに仕留めた。全体の調子はいまひとつだったが、精神力を集中した粘投だった。
(昭和39年入学 六車 護)
9月25日(月) 対 明治大学 三回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 4 |
| 明大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 |
○大谷―細山田
<戦評>
早大の命運は先発・大谷の右腕にかかっていた。監督、応武にしてみれば、願わくば完投勝ちを望んでいただろう。それは、リリーフ陣に不安があること。もう1人の柱、宮本は前日、9イニングを投げている。それでも、最後の1イニングぐらいは投げる機会があるとスタンバイを申し渡していたはずだ。結果はゲームを託された大谷がピンチをことごとく逃げ切って完投で勝利をもたらした。
早大は1回、四球の前田将がバントで二進。続く四球の松本との間で重盗を決め、捕逸で先制のホームを踏んだ。幸先よい1点だったが、その裏、長短打と外野犠飛で追いつかれた。大谷は、ここからが我慢のしどころだったが、よく耐えた。
そんな大谷の踏ん張りに打線が応えた。5回だ。上本、小野塚が単打して1、2塁。ここで北崎が中前に痛打して良くつなぎ役を果たし満塁とした。明大は3人目の投手にリレー。田中幸は初球のストレートを打って出て左中間を抜く走者一掃の二塁打した。満塁の走者を背負い、代わったばかりの救援投手はストライクが欲しい。そこを見逃さなかった田中の積極性が功を奏した場面だった。
3点のリードをもらった大谷は気合十分の投球を披露した。6回からの4イニングで奪った三振は8(合計13奪三振)。圧巻だったのは8回だ。三塁失策も絡んで1点を返され、なお一死、1、2塁。大谷は気力を振り絞るように二者をストレートで三振に切って取った。9回も一死、1、3塁のピンチ。ここでも伸びのあるストレートで最終打者を三振で退けた。「一難去ってまた一難」のマウンドだったが、この日はピンチで不用意なタマがほとんどなかったのが良かった。
これで2カードを終えて勝ち点2。順当な滑り出しではあるが、今後も現状の打線では多くの得点は望めそうにない。宮本、大谷の両腕が、いかに相手打線を抑えるかにかかっている。
(昭和39年入学 六車 護)
10月7日(土) 対 立教大学 一回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 3 |
| 立大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
○宮本―細山田
<戦評>
宮本が立教打線を完封した。
許した安打は内野安打二本を含む散発の六本だったが、これに2、3三回に味方のエラーから走者を背負い、苦しい投球の連続だった。宮本は「立ち上がりはリキみすぎていた」と自ら認めていたが、ピンチに追い込まれても点を許さなかったのはさすがだ。ここという勝負どころで落差のあるカーブが低めに決まっていたのが救いだったといえるだろう。
春季リーグ戦が終わってから海外遠征があり、夏場の投げ込みが不足していたからだが、少しずつ本来の投球に戻ってきたようだ。
これに比べて打線はまだ本調子にはほど遠いのではないか。1回に四球、盗塁からつかんだ得点機に田中幸が2-1後、左前に適時打した先取点。7回は同じように四球、盗塁から松本が遊撃右を抜き2点目。8回には中前安打の田中幸をバントで送り、2死1、3塁から代打の生島が右前安打して1点を追加、勝負を決めた。
この試合で得点圏に走者を進めたのが得点した回を除いて六度もあった。点を取られても打ち返すという本来の姿はいつ戻ってくるのだろうか。
(昭和27年入学 増田 稔)
10月8日(日) 対 立教大学 二回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 立大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | × | 3 |
○大谷―細山田
<戦評>
春のシーズンもそうだったように、今の早大は打線に多くを望めない。少ないチャンスをいかに生かすか。スクイズも大きな選択肢の一つだった。2回にその場面がきた。
先頭打者の田中幸が中前打、バントで送ったあと北崎が右前打して1死一、三塁になった。打席に立った投手の大谷はセーフティ・スクイズを試みた。いいアイデアだったが、これはファウル。次に打って出た打球は幸運な投手内野安打となって三つの塁が埋まった。願ってもない先制の好機。だが、巧者の本田はスクイズを捕手への小飛球として三塁走者が帰塁できずに最悪の併殺となった。
先制機を逃して大谷は「先に点はやれない」と強く意識してマウンドに向かったことは容易に想像できた。無駄なりきみを排してバランスの取れたフォームから直曲球を低めに投げ込んだ。どの球にもキレがあって危なげなく、今季のベストピッチを思わせた。
先制は5回、一死後、大谷が左前打した。打席には本田。前打席のスクイズ失敗の汚名を晴らすかのようにカウント、1-2から左翼ポールぎわに2点本塁打を打ち込んだ。内角に曲がり込んでくるカーブに対して身体をうまく回転させる技ありの一発だった。8回には暴投で1点を加えた。
大谷は最後まで球威が衰えず、被安打4の無四球、三塁を踏ませず、1回戦の宮本に続く完封で連勝を引き寄せた。これで勝ち点3。次週は三連覇を狙う法大との決戦だ。勝利は一にも二にも宮本、大谷の両腕にかかっているが、打線にはラッキーな一発ではなく確実なバント、あるいは積極果敢な走塁が望まれる。
(昭和39年入学 六車 護)
10月14日(土) 対 法政大学 一回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
| 法大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
○宮本、大谷―細山田
<戦評>
見どころは9回裏にきた。8回まで3安打、無四球、無失点に抑えてきた早稲田の左腕・宮本が、無死から連続四球で一、二塁。見かねた応武監督がゆっくりと、しかし心配そうにマウンドへ。宮本がピンチに立つと、本人の調子と意思を確認するだけで続投させることの多い監督が、いつもより協議が長い。球審が注意するために近づいたとき、監督はブルペンの大谷を指さした。3点リードの最終回に、早稲田は翌日の先発投手を投入したのだ。
学生球界を代表する左右の2枚看板を、惜しげもなくつぎ込む鉄壁の必勝リレーはスタンドを驚かせたが、実は舞台裏で思いがけないアクシデントが発生していた。快調に飛ばしていた宮本が左腕の爪に異常を感じたのは7回ごろ。ベンチに戻った宮本は、監督と大谷に「準備をしておいてほしい」と告げた。
今季絶好調の大谷は、追い風を生かして142キロの速球を連発、4番以降を2三振と中飛に抑えて、天王山の法政戦を先勝した。試合後、応武監督は「宮本は無四球でヒットも散発だったので、いけるところまで行くつもりだったが、爪の違和感もあって9回はいっぱいいっぱいだった。大谷を出したのは、宮本が“代えるなら大谷にしてくれ”といったからです」と初戦快勝の裏話を披露した。
この日は打線も元気がよかった。2回に1死一、三塁から細山田がスクイズを決めて先行。4回に2死一、三塁から前田将が三遊間に適時内野安打を放つと、5回にも1死一、三塁から泉がスクイズを決めて3点目をもぎ取った。5回までに9安打を奪いながら、2度のスクイズを含む3点どまりは寂しいが、下位打線が計3回のバントを決めたのは、「1点にこだわる練習」の成果でもあった。
(S34年入学 生原伸久)
10月15日(日) 対 法政大学 二回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 法大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 早大 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 6 |
○大谷、宮本―細山田、佐伯
<戦評>
第一試合に慶應が明治に連敗。このため早稲田が法政に連勝すれば勝点「4」となり最終週の早慶戦を待たずに早々と早稲田の優勝が決定というリーグ展開になった。
三連覇の夢が目前で消えてしまった法政にはやはりプレーに勢いが消えていたと見えたのも仕方が無いところか。
法政は1,2回に得点圏に走者を置いたが低目をつく大谷の投球に内野ゴロが続き併殺などで得点機をつぶした。
それではというかっこうで早稲田は3回、一死から前田将が右へ本塁打して先取点。これで勝負の行方は早稲田に大きく傾いた。
松本、田中幸が連続安打、大西は三振で二死となったが、泉が1,2塁間を破り、本田が左翼線に二塁打してこの回4点。6,7回には押し出しなどで1点ずつを追加。ダメを押した。
9回に主将の宮本をマウンドに送り、胴上げ投手をねらったが、法政に押し出しの1点を与えてしまったのは皮肉だった。
(昭和27年入学 増田 稔)
10月28日(土) 対 慶應大学 一回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 慶大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | x | 5 |
●大谷、松下、山本―細山田
<戦評>
すでに優勝を決めている早稲田。連敗すればBクラスに転落するという慶應。精神的には早稲田が優位にたち慶應はその逆。重苦しい雰囲気だったのではないか。
だが、「早慶戦」にかぎれば昔から「弱いといわれる方が勝つ」といわれている。下位チームが「早慶戦だけは勝つ」と意地をみせるからだ。
第一戦は、まさにこれがピッタリ当てはまったといえる展開になった。
慶應は一回。一死後、瀧口が四球で出塁すると、金森宏が右中間に二塁打して得点機をつかみ、二死後、岡崎が三遊間を破って2点を先取した。早稲田の先発大谷は勝負どころのコントロールにいつもの厳しさが欠けていた。五回には一死二塁からまた金森宏に2-2と追い込みながら右中間三塁打を浴びた。いずれも真中に入った球だった。
3点のリードで慶應の加藤の投球術には勢いが感じられた。早稲田は速球につまり気味でカーブにはタイミングが合わなかった。八回に二死後、失策がからんだ2安打で完封を免れたのがやっと。わずか4安打では勝てない。優勝チームの意地が二回戦でみられるだろうか。
(昭和27年入学 増田 稔)
10月29日(日) 対 慶應大学 二回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | R | |
| 慶大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 早大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2X | 4 |
○宮本―細山田、笹沢
<戦評>
引き分け寸前の延長12回裏、早稲田は一死後、代打の吉川が右前安打。打順は一番に戻ってここで二人目の代打佐伯が2‐1後の内角よりの直球を巧く捕らえ、右翼席に本塁打しサヨナラ勝ちを決めた。代打は二人とも左打者。右投手の関本に対して球筋が見やすいのだろうが、それにしても見事な打撃だった。
だがここまでに持ち込んだ9回一死後に飛び出した田中幸の左本塁打も貴重な一打だった。
慶應の右投手を予想して組んだ左打線だったが相澤の内外角を投げ分ける投法に安打は1回に松本が中前打した一本だけと打ちあぐんでいただけに優乏はつけがたいが、価値としたら田中幸の一打に軍配を挙げたい。
早稲田の宮本はいつになくコントロールに甘さがあった。立ち上がり2四球でピンチを招き、岡崎に0‐1後ストライクをとりにいき左越え二塁打され、2点を先取された。しかし、2回以降、6度も得点圏に走者を背負う苦しい投球だったが、慶應に追加点を許さず、12回178球で投げきり決勝戦に持ち込み主将の重責を果たした頑張りをほめたい。
(昭和27年入学 増田 稔)
10月30日(月) 対 慶應大学 三回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | |
| 早大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | x | 2 |
●大谷、須田、山本、松下―細山田
<戦評>
早稲田が自滅した試合だった。一回戦と同じ早稲田が大谷、慶應は加藤が先発。前試合と変わって加藤はコントロールがいま一つ。逆に大谷は慎重に低目をつき、慶應打線に的をしぼらせない投球をみせた。だが、先に崩れたのは大谷だった。
6回裏瀧口に1-2から外角球を右前にねらい打たれた。4球とも外角攻めで配球の失敗といえる。続く金森宏にも内角にカーブを決めて2-2と追い込んだあと、一変して外角をつき、左中間に先制二塁打された。バントで一死三塁とされ、当たっている岡崎を投直に打ちとったが、宮田の三ゴロを小野塚が一塁ではなく本塁に送球して野選とし、2点目を失った。
7回まで3併殺と早稲田の拙攻に救われたかっこうの慶大加藤も8回に捕まった。上本に右中間三塁打、前田将に一塁手の頭をバウンドで越す安打され1点。松本には投前バント安打された。思わぬチャンスに早稲田が一気に逆転できる勢いが感じられた。ところが田中幸が1-3から打って浅い右飛。ここで代わった相澤に小野塚が遊ゴロ併殺に打ち取られ、好機をつぶしてしまった。
四番にバントさせ得点圏に走者を進め、相手のミスを誘った慶應。強攻が裏目に出た早稲田。
勝負は難しいものだ。
(昭和27年入学 増田 稔)
